エントリーシート(ES)と履歴書は、就職活動において企業に提出する重要な書類ですが、それぞれ目的や役割、内容に違いがあります。
エントリーシート(ES)
- 目的・役割:
- 自己アピール: 企業に対して、自身の個性、熱意、入社後の貢献意欲、将来の可能性などを具体的にアピールするための書類です。
- 選考の判断材料: 面接前の事前情報として利用されたり、大手企業などでは選考の初期段階で合否を判断するために使われたりします。
- 企業独自の質問: 企業ごとにフォーマットや質問内容が異なり、志望動機、自己PR、学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)、入社後に何をしたいか、といった、企業が知りたい具体的な内容が問われることが多いです。
- 未来志向: 「入社後、どれだけ企業に貢献できるか」「どのように活躍できるか」といった、応募者の「未来」に焦点を当てた内容が重視されます。
- 特徴:
- 多くの場合、企業から配布されるか、Web上で直接入力する形式です。
- 自己PRや志望動機などの記入スペースが広く、具体的なエピソードを盛り込み、論理的に記述することが求められます。
- 企業によっては、配属先を決める際の参考資料になることもあります。
履歴書
- 目的・役割:
- 公的資料: 氏名、生年月日、住所、学歴、職歴、資格など、応募者の基本的な個人情報や経歴を正確に伝えるための書類です。
- 人事データ: 採用後も従業員の人事データとして企業で保管されることが多い、公的な意味合いを持つ書類です。
- 事実確認: 最低限の応募条件を満たしているか、エントリーシートと内容に食い違いがないか、といった事実確認のために見られることが一般的です。
- 過去・現状志向: 「これまでの経験やスキル」「どのような経歴を歩んできたか」といった、応募者の「過去」や「現状」を示す書類です。
- 特徴:
- 市販のものや大学指定のものなど、一般的なフォーマットを使うことが多いです。
- 自己PRや志望動機の欄は設けられている場合もありますが、エントリーシートに比べてスペースが小さく、簡潔にまとめることが求められます。
- 記入漏れや誤字脱字がなく、美しく見やすいことが重要視されます。
項目 | エントリーシート(ES) | 履歴書 |
---|---|---|
主な目的 | 自己アピール、企業への熱意や将来性の伝達 | 基本情報・経歴の提示、公的記録としての保管 |
内容 | 志望動機、自己PR、ガクチカ、入社後の抱負など | 氏名、学歴、職歴、資格、連絡先など |
焦点 | 未来(入社後の貢献、可能性) | 過去・現状(これまでの経験、スキル) |
フォーマット | 企業独自、Web入力形式が多い | 市販、大学指定など一般的なものが多い |
役割 | 主に選考判断の参考資料、アピールの場 | 基本情報の確認、人事データ |
重視される点 | 内容の具体性、論理構成、熱意、企業への適性 | 正確性、簡潔さ、事実関係、丁寧さ |
両方提出を求められる場合
多くの企業では、ESと履歴書の両方を提出するよう求められます。この場合、それぞれが持つ役割を理解し、内容に一貫性を持たせながらも、重複する項目(自己PRや志望動機など)については、
- 履歴書では簡潔にまとめる
- ESではより具体的なエピソードや熱意を深く記述する
といったように、書き分けを意識することが効果的です。
企業によっては、履歴書のみの提出を求める場合もあります。その際は、履歴書にESで書くような自己PRや志望動機の内容をしっかりと盛り込む必要があります。