「あんなにバリバリ働いていたのに、今の私に残っているのはオムツ替えのスキルだけ……?」
数年前、再就職を考え始めた時の私は、鏡に映る自分を見てため息をついていました。
3年間の子育て期間。世間ではこれを「キャリアのブランク」と呼びます。
履歴書の空白期間を眺めては、「自分を雇ってくれる会社なんてあるのかな」と不安でいっぱいでした。
しかし、そんな私の背中を押してくれたのが、最近話題の「イエチカ」という考え方です。
今回は、私が「子育て」という経験を「転職」の強力な武器に変え、自分らしい働き方を手に入れるまでのリアルな体験談をお届けします。
1. 「社会から取り残された」という焦りとの闘い
子どもが生まれてから3年間、私の生活は24時間365日、子ども中心でした。
自分の時間は二の次。流行のビジネス用語も、新しいアプリの使い方も、すべてが遠い世界の出来事のように感じていました。
いざ転職活動を始めようと求人サイトを開いても、目に飛び込んでくるのは「経験者優遇」という言葉ばかり。
「私には語れる実績なんて何もない」と、エントリーボタンを押す指が止まってしまう日々が続きました。
でも、ある日ふと思ったんです。
「私、この3年間、何もしていなかったわけじゃない。むしろ、仕事以上にハードな毎日を乗り越えてきたんじゃない?」
そう、ここから私の「イエチカ」探しが始まりました。
2. 「イエチカ」って何?家の中はスキルの宝庫だった!
「イエチカ」とは、「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」になぞらえ、子育て、介護、地域活動など「家(いえ)で力を入れていたこと」を自分の強みとして再定義することです。
日経新聞の記事でも紹介されていましたが、子育てで培われる能力は、実はビジネスシーンで喉から手が出るほど求められている「ソフトスキル」そのものでした。
例えば、こんな経験はありませんか?
- マルチタスク能力: 泣き叫ぶ子どもをあやしながら、片手で離乳食を作り、同時に洗濯機を回す。
- 危機管理能力: 子どもの怪我を未然に防ぐために家中の安全を確認し、トラブルが起きても冷静に対処する。
- 交渉力・調整力: 「お風呂に入りたくない!」と泣く子を、いかにやる気にさせて浴室へ誘導するか。
- スケジュール管理: 予防接種、検診、園の行事。分刻みのスケジュールを完璧にこなす。
これらすべて、立派な仕事のスキルだと思いませんか?
私は自分の日々のドタバタを「仕事」の視点で書き出してみることにしたのです。
3. 【比較表】「ただの家事」と「ビジネススキル」はどう違う?
自分の経験をどう言い換えれば企業に伝わるのか、整理するために作った比較表がこちらです。
これを見ると、いかに「イエチカ」が仕事に直結するかがわかります。
| 家庭での出来事(イエチカ) | 言い換えられるビジネススキル | 具体的なアピール内容 |
| 毎日の献立作りと買い物 | コスト意識・計画性 | 限られた予算と時間内で、家族の健康を考えた最適なリソース配分。 |
| イヤイヤ期の子どもへの対応 | 忍耐力・交渉スキル | 相手の感情に寄り添いつつ、最終的なゴール(着替えや食事)へ導く力。 |
| PTAや地域行事の取りまとめ | リーダーシップ・調整力 | 価値観の異なる人たちと協力し、目標を達成するためのコミュニケーション。 |
| 急な発熱への迅速な対応 | 柔軟性・優先順位付け | 予期せぬトラブルに対し、瞬時に優先順位を判断し、代替案を実行する力。 |
このように変換してみると、「私、結構すごいことやってるじゃない!」と自信が湧いてきました。
4. 面接で実践!「イエチカ」を強みに変える伝え方のコツ
いよいよ面接。
私は履歴書の空白期間について聞かれたとき、隠したり卑下したりするのをやめました。
代わりに、「イエチカ」で得た経験を堂々と話すことにしたのです。
例えば、事務職の面接ではこんな風に伝えました。
この3年間は育児に専念しておりましたが、その中で『限られた時間で最大の結果を出す生産性』を徹底的に磨きました。
子育ては予定通りにいかないことの連続です。
その中で、優先順位を常にアップデートし、効率的にタスクを処理するスキルを身につけました。
この『状況の変化に強い柔軟性』と『マルチタスク能力』は、急な依頼が多い貴社の事務職でも必ず貢献できると確信しています。
面接官の方は、私の話をとても興味深く聞いてくれました。
「確かに、子育てを経験した方は優先順位の付け方が上手な方が多いですよね」という言葉をもらえたときは、心の中でガッツポーズをしました。
5. 転職成功!働き始めて気づいた「ブランク」の真実

結果として、私は希望していた企業から内定をいただくことができました。
実際に働き始めて驚いたのは、子育てで培った「段取り力」や「忍耐強さ」が、現場でめちゃくちゃ役に立っているということです。
仕事でトラブルが起きても、「子どもの突然の夜驚症やイヤイヤ期に比べれば、全然冷静に対処できるな」と思える自分に気づきました。
ブランクだと思っていた期間は、実は「自分をアップデートするための研修期間」だったのかもしれません。
これから再就職を目指す皆さんに伝えたいのは、「あなたの毎日は、素晴らしいキャリアである」ということです。
公園でママ友と話したことも、献立に悩んだ時間も、すべてがあなたの血肉となり、働く力になっています。
まとめ:あなたの「イエチカ」に光を当てよう
今回の私の体験を振り返ると、成功の鍵は以下の3点でした。
- 「ブランク=空白」という思い込みを捨てる。
- 「イエチカ」の視点で、日々の家事・育児を言語化する。
- 家庭での経験を、仕事のスキルとして堂々とアピールする。
「自分には何もない」と思っているのは、あなただけかもしれません。
まずはノートを一冊用意して、今日一日頑張ったことを「仕事」の言葉で書き出してみませんか?
きっと、そこには輝かしい「スキル」が並んでいるはずです。
子育てという最高にハードな仕事をこなしているあなたなら、どんな職場でもきっと輝けます。
一歩踏み出す勇気を持って、あなたの「イエチカ」を武器に転職活動を楽しんでくださいね!


